グラフの不変量としてのマトロイド

理,応用数学,幾何学,S95MM08,野上 享仁

緒言

線型空間の有限部分集合の一次独立な部分集合の全体と、 グラフの閉路を含まない部分グラフの全体は、ある共通の性質をもつ。 この性質を抽象化して得られる概念をマトロイドと呼ぶ。 以下ではマトロイドに関して学習してきたことを、 特にグラフ理論との関係に重点を置いて報告する。 その応用として、マトロイドを数え上げるコンピュータプログラムについても述べる。

概要

始めにグラフの用語を定義する。 次にマトロイドの定義を与える。 最後にマトロイドを数え上げるための コンピュータプログラムについて述べる。 なお以下で、有限集合$A$の個数を$|A|$と書く。

グラフ理論に関する準備

ここではWilsonの教科書に基づいて、 グラフの用語や基礎的な概念を導入する。

  1. グラフの定義、頂点集合と辺集合
  2. 散歩道、小道、道
  3. 連結グラフ
  4. 閉路とカットセット
  5. 木と林
  6. 全域木と全域林
  7. 平面グラフと平面的グラフ
  8. グラフの双対

マトロイドの定義

マトロイドの定義は、複数の同値なものが存在する。 それらを以下で与え、関連する基本的な性質を示す。

  1. 基によるマトロイドの定義
  2. 独立集合によるマトロイドの定義
  3. 階数関数によるマトロイドの定義
  4. 閉路によるマトロイドの定義
  5. マトロイドの例
  6. マトロイドの双対

コンピュータプログラムによるマトロイドの数え上げ

上で紹介した結果の応用と確認のために、マトロイドを数え上げる コンピュータプログラムを構成する。

  1. マトロイドのコンピュータ上での表現
  2. アルゴリズムの設計
  1. Robin.J.Wilson, Introduction to Graph Theory, Longman Scientific \& Technical,1985.